こんにちは。福祉Biz.編集部の高橋潮です。
福祉施設に限らずどのような組織にしても、共通してチームとして何ごとも一体的に取り組んでいけるような文化や風土を作りたいと考える方が大半だと思います。しかし、一体化を図るためには、みなが同じ方向を向いて、同じ考え方を共有することが求められます。就労福祉においても同じです。自分たちの質の高い支援を体現するためにも、どのように支援するのか、どのような対応をするのかをルールのレベルではなく、文化のレベルで共有しなくてはなりません。
「そんなことはわかっている!だが、現実はなかなか変わらない!」
と思う方もいらっしゃると思います。しかし、何か日常的なこと一つにおいても自分たちの考え方を共有して行うことで、徐々に文化・風土が芽生えていきます。
今回は、そのための取り組みとして、「5S活動」をご紹介いたします。
【目次】
1.5Sとは?
(1) 5S活動の取り組み
(2) ①一般的な5Sの定義
2.なめちゃいけない!5Sの本質
(1) 改善前の施設の悩み
(2) 文化改善の歩み
(3) 改善文化着後の姿
3.まとめ
1.5Sとは?
(1) 5S活動の取り組み
5S活動は主に製造現場などで行われる整えられた環境を維持していくための取り組みです。小学校のときから、「整理整頓をしなさい!」と言われてきていることもあり、私たちにとって環境をきれいにすること・環境を整えることは当たり前のこととして定着しております。しかし、一つの環境を完全に整えるためには、その組織全員が「環境を整えることに対しての具体的な共通認識」が必要になります。そこで編み出されたのが、キーワードの頭文字の5つのS(「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「躾」)から取った5Sという活動です。これらを通じて、環境を整えることに対する共通認識を持つイ、その状態を保つことを風土レベルで定着させることが5Sの目的です。この取り組みは、製造現場に留まらず、様々な業種の職場改善に活用され、今では海外でもその成果が認められ、5Sは英語に訳され、導入されています。
(2) 一般的な5Sの定義
5Sのキーワードそれぞれは、我々にとっては聞き慣れた言葉ですが、一般的には以下のように定義されます。
共通認識を作るうえで一番最初に必要なことは、「言葉を合わせること」です。言葉を合わせることで、一つの言葉の意味に対して、全員で共通で使うことができるため、意思疎通がスムーズに行われます。このように言葉を定義することで、5Sに対する共通認識を持つことができます。
2.なめちゃいけない!5Sの本質
(1) 改善前の施設の悩み
就労事業を行っている法人・企業の方が挙げられる悩みに「作業内のミスが頻繁に起こってしまう」「取引業者からのクレームが度々きてしまう」「自分たちで決めたルール・習慣が守られない」などが挙げられます。それぞれ異なった悩みのように感じるかもしれませんが、その課題の発生源は同じです。それは、自分たちが活動する「作業環境」です。
ミスの原因のほとんどがコミュニケーションミスです。例えば、「○○さんそろそろ送迎の時間だから準備して」という上司からの指示に対して、その職員はとりあえず車だけを回しておいたとします。しかし、上司が行ったのは○○さんをしっかり車まで連れて行ってあげることも含まれていたとしたら、そこに○○さんが放置されてしまうというミスが発生します。そのようなコミュニケーションミスの習慣を作ってしまっているのは、普段の作業環境で報連相が徹底されていないからです。そのような言語の共通認識がないようにすることから5Sはスタートします。
(2) 文化改善の歩み
5S活動のスタートは、まず職員の事務室・職員室の改善から始めます。自分たちにとって「整った環境とは何か」という共通認識を作ります。実はこれは5Sの一番最後のキーワードである「躾」に分類されますが、まずこの躾から行うことで共通認識を共通し、活動に移しやすくします。活動における決まり事を決めたあとに、必要のない張り紙や今は使っていない備品・書類など「不」を排除し、必要なモノが必要な時に取れるようにいたします。その後に職場環境をきれいにする習慣を職員主導で行い、整理・整頓・清掃が習慣化する仕組みを作ります。
職員の現場で定着した後は、作業の現場で利用者と一緒に取り組みます。利用者と共に5S活動を行う際に気を付けなければいけないことは、「言葉をより分かりやすく表現すること」です。言葉よりも視覚的にわかることの方が認識しやすいことを考慮し、イラストなどを活用し、ゲーム形式なども取り入れながら、利用者にも5S活動を浸透させます。
(3) 改善文化着後の姿
このような基盤を作ることで得られるメリットはたくさんあります。「取引先からの信頼を得ることができる」「利用者も含めた全員の結束力が高かまる」「法人として自分たちで決めたことを守る習慣ができる」。一番の収穫は、仕事・作業をしていて楽しくなる環境を得られることだと思います。無駄なモノが全くない環境で仕事をすることでミスは撲滅され、みんながわかるようにモノが配置されていることでコミュニケーションミスが劇的になくなります。そして、何より利用者にとって安全で安心で楽しい作業現場を提供でき、働き甲斐につながります。
3. まとめ
今回の記事で、5Sを取り組むうえでの成果を中心に記述してきました。コロナウィルスの蔓延により、経済的にも社会的にも大きなダメージを受けた施設がたくさんおります。そして、「新しい生活様式」といったこれまでの当たり前が通用しない時代がやってきます。しかし、そのようなときだからこそ、新しい生活様式に対応するための現場づくりが必要になってきます。その現場づくりを実現させる活動が5Sになります。
次回ではより具体的な5Sの手法をお伝えしますので、お楽しみに!!
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